2019年5月23日、富士通コネクテッドテクノロジーズからマルチ通訳機(翻訳機)「arrows hello(アローズハロー)AT01」が発売されました!
国産スマートフォンのブランドとして親しまれている「arrowsシリーズ」から発売された翻訳機ということで、どれくらいの性能なのか気になるところです。
今回トライ翻訳機では、富士通コネクテッドテクノロジーズさんのご好意でarrows helloをレンタル提供いただくことができましたので、実際に使って分かったarrows helloの特長や注意点などをどこよりも詳しくレビューします!
ポケトークWやKAZUNA eTalk 5など、ライバルの翻訳機とも比較していますので翻訳機選びの参考にしてください。
arrows hello(アローズハロー)とは?
「arrows hello(アローズハロー)」は、スマホやガラケーの「arrowsシリーズ」で有名な「富士通コネクテッドテクノロジーズ」が販売しているクラウド+オフライン型の「音声翻訳機」です。価格は税抜29,800円。
28か国語の双方向翻訳に対応しているので、日本語→外国語、外国語→日本語どちらも翻訳できる「マルチ(多言語)通訳機」として働いてくれます。
クラウド+オフライン型の翻訳機って何?という方はこちら
中国「有道(ヨウダオ)」のOEM製品
※https://store.youdao.comより
arrows helloは富士通のarrowsシリーズから発売された翻訳機ということで、もちろん開発も富士通…かと思いきや、実は中国の有道(youdao・ヨウダオ)というブランドのOEM製品です。(※有道(youdao・ヨウダオ)とは、中国の企業NetEase・网易(ワンイー)が提供する翻訳エンジン、翻訳アプリ、辞典などの総合ブランドです)
OEM(オー・イー・エム)とは、相手先のブランド名で販売する製品を製造すること。つまり今回の場合は、中国の有道が開発・製造を担当した製品に、富士通コネクテッドテクノロジーズがarrowsのブランド名をつけて販売しているということになります。
実際「有道」の公式サイト(https://store.youdao.com)を見てみると、arrows helloと全く同じ形の製品が「有道翻译王2.0 Pro」という商品名で販売されています。ちなみにお値段は1,688中国元(日本円に直すと約27,000円)で、arrows hello(29,800円)よりも若干安い価格設定です。
arrows helloは富士通から発売されている翻訳機ですが、「日本製」ではないので勘違いしないよう注意してください。
※富士通コネクテッドテクノロジーズの担当者の方にお話を伺ったところ、UI、メニュー設定などは使いやすさにこだわり、日本語を起点にカスタマイズしているとのことです。また、取り扱い説明書も日本向けに作成されたものが製品に同梱されています。
カラーと外観・サイズ
arrows helloの本体カラーは紅(BENI)と墨(SUMI)の2種類です。
見た目はスマホに似ていますが、全体的に丸みを帯びた形になっています。画像は墨(SUMI)。
翻訳ボタンは本体側面についています。
本体各部の詳しい写真は以下の記事で紹介していますので気になる方はご覧ください。
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通訳機arrows hello開封レビュー!初期設定方法と翻訳の使い方
富士通コネクテッドテクノロジーズから発売されたマルチ通訳機「arrows hello(アローズ・ハロー) AT01」がトライ翻訳機編集部に届きました!※発売日:2019年5月23日(木) この記事では ...
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本体・画面サイズ
arrows helloの本体サイズは、 約118x50x13mmとかなりコンパクトですが、画面サイズ(タッチパネル)は3.0インチと大きく、見やすく、操作もしやすくなっています。
iPhone7と並べて大きさを比較してみました。

iPhone7(左)とarrows hello(右)
iPhone7と比較すると、arrows helloの方が1回り程度小さい印象です。本体の角が丸みを帯びているので、より小さく見えます。
ライバルの翻訳機「ポケトーク」や「ili(イリー)」とも大きさを比較してみました。

ポケトークW(左)・arrows hello(中央)・ili(右)
ポケトークと比較すると、arrows helloの方が縦のサイズは大きいですが、横のサイズが小さく、全体としてはほぼ同じ大きさです。重量もポケトークWが100グラムに対してarrows helloが101グラムとほぼ同じになっています。
主要翻訳機のサイズ比較表
翻訳機 | 画面サイズ | 縦 | 幅 | 厚さ | 重量 |
arrows hello | 3.0インチ | 118mm | 50mm | 13mm | 101g |
ポケトークW | 2.4インチ | 110mm | 59.8mm | 15.8mm | 100g |
ili | なし | 120mm | 30mm | 15mm | 42g |
iPhone7(参考) | 4.7インチ | 138.3mm | 67.1mm | 7.1mm | 138g |
arrows helloの本体サイズは翻訳機の中で小さめの部類に入りますが、画面サイズは大きいので、持ちやすさと操作のしやすさを両立した翻訳機としてちょうどいいサイズになっていると思います。
arrows helloの使い方
arrows helloでは、設定をタッチパネルで、翻訳は2つの専用キー(ボタン)で行います。
※arrows hello公式サイトより
ホーム画面で翻訳する言語を設定したら、あとは翻訳ボタンを押しながら話し、話し終わったらボタンから指を話すだけで、話した言葉が設定した言語に翻訳されます。
同じ言葉をもう一度相手に伝えたい場合は、翻訳結果画面の「リピート」ボタンをタッチすることでもう一度再生できます。
翻訳履歴を確認したい場合は、ホーム画面を右から左にスワイプすると、直前の翻訳結果のみ確認できます。
使い方を詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。
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arrows helloの翻訳精度をポケトークWと比較
arrows helloの翻訳精度(翻訳の正確さ・適切さ)はどの程度のレベルなのか、現在翻訳精度No.1のポケトークWと比較検証してみました。
arrows helloとポケトークWの双方で同じ日本語の文章を英語と中国語に翻訳し、以下の規準で翻訳結果を採点して合計点を比較します。
arrows helloはオフライン(インターネット接続なし)での翻訳もできます※ので、オフライン翻訳の精度も同時に比較しました。
※日本語、英語、中国語の3か国語のみ対応
▼採点基準
5点 |
完璧な翻訳。意味が通じ、なめらかで自然な文章になっている。 |
4点 |
多少不自然な点はあるものの、意味はしっかり通じる。 |
3点 |
なんとか全体の意味が理解できる |
2点 |
意味が分かりにくい、一部しか理解できない |
1点 |
意味が分からない |
0点 | そもそも翻訳できない |
※採点は当サイト独自の規準です。
※例文と翻訳者による翻訳結果は、JTBパブリッシング発行「ひとり歩きの会話集 英語」、「ひとり歩きの会話集 中国語」から引用させていただきました。
日本語→英語の翻訳精度を比較
1.デルタ航空3便ロサンゼルス行きのお客様はただいまより搭乗を開始いたします。
翻訳者による翻訳Departing passengers on Delta Airlines Flight 003 for Los Angeles are now boarding.
ポケトークWCustomers on Delta 3 flights to Los Angeles will start bording now.
デルタ航空3便ロサンゼルス行きのお客様はただいまより搭乗を開始いたします。 5点
arrow helloPassengers for Los Angeles delta flight 3 will now begin boarding.
ロサンゼルスデルタ3便の乗客は今搭乗を開始します。 3点
arrow helloオフラインThe customers of delta. will begin coming now.
デルタのお客様、今来始めます。 2点
評価
ポケトークWの翻訳結果は完璧ですが、arrows helloは”デルタ航空3便ロサンゼルス行き”の部分が「ロサンゼルスデルタ3便」と翻訳されて意味が分かりにくくなってしまいました。
また、arrows helloのオフライン翻訳の場合は、そもそも音声認識がうまくいかず、「デルタ航空ロサンゼルス地域のお客様はただいまより登場を開始いたします」と認識されました。そのため翻訳結果も非常に分かりにくく、もともとの意味がほとんど伝わらなくなっています。
2.ゴルフをしたいのですが、近くに適当なコースはありますか?
翻訳者による翻訳I’d like to play golf. Are there any golf courses around here?
ポケトークWI would like to play golf, but is there a suitable course nearby?
ゴルフをしたいです。でも近くに適切なコースはありますか? 4点
I’d like to play golf. Is there a suitable course near here?
ゴルフをしたいです。近くに適切なコースはありますか? 4点
arrow helloオフラインI’d like to play golf, but is there a proper route nearby?
ゴルフをしたいです。でも近くに適したルートはありますか? 3点
評価
ポケトークWは”ゴルフをしたいのですが”という部分を「ゴルフをしたいんだけど、でも…」のような意味ととらえて翻訳してしまったようですが、全体としては言いたいことがよく分かります。arrows helloも全体として正確に訳せています。
arrows helloのオフライン翻訳も、少しニュアンスは異なるものの比較的正確に翻訳できています。
日本語→中国語の翻訳精度を比較
1.中国国際航空1209便西安行きのお客様はただ今より搭乗を開始いたします
翻訳者による翻訳乘坐飞往西安的中国国际航空1209航班的旅客,现在开始登机了。
ポケトークW去往西安中国国际航空一千二百零九航班的乘客现在开始登机。
中国国際航空1209便西安行きのお客様はただいまより搭乗を開始します。 5点
arrow hello中国国际航空1,209航班濑谷站乘客现在开始登乘。
中国国際航空1209便瀬谷駅のお客様はただいまより登乘を開始します。 2点
arrow helloオフライン中国国际航空的乘客们现在开始了!
中国国際航空のお客様たちはただいま開始しています。 2点
評価
ポケトークWはほぼ完ぺきな翻訳結果ですが、arrows helloの翻訳結果はかなり悪い結果になりました。
WiFiに接続した状態でも、音声認識がうまくいかず「中国国際航空瀬谷駅のお客様はただいまより登場を開始いたします」と認識されたので、翻訳結果にも「濑谷站」が登場して意味が全く分からなくなっています。また、「登乘」という中国語にはない単語が翻訳結果に登場してしまっています。
オフライン翻訳の場合でも、やはり音声認識がうまくいかず、「中国国際航空便のお客様はただいまより登場開始いたします」と認識されたので、重要な便名と行き先の部分がすっぽり抜け落ちてしまいました。
2.8時に予約した佐藤です。すみません、予約を取り消したいのですが。
翻訳者による翻訳我叫佐藤,八点订了做。对不起,我想取消预订。
ポケトークW我想取消预订八点的佐藤预订的预订。
わたしは予約を取り消したい8時の佐藤の予約した予約を。 3点
arrow hello我是8点预约的佐藤。对不起,我想取消预约。
わたしは8時に予約した佐藤です。すみません、予約を取り消したいです。 5点
arrow helloオフライン我是预约8点的佐藤。对不起,我想取消预约。
私は予約8時の佐藤です。すみません、予約を取り消したいです。 4点
評価
ポケトークWの翻訳結果には「予約」という言葉が何度も出てきて分かりにくく、「すみません」という日本語も翻訳されていませんが、なんとか全体の意味が理解できますのでおまけで3点としました。一方arrows helloはほぼ完ぺきな翻訳結果で5点満点です。
arrows helloはオフライン翻訳の場合でもかなり正確です。多少語順は入れ替わっていますが、全体として意味ははっきり分かるので4点です。
翻訳精度検証まとめ
arrows helloとポケトークWの翻訳精度を比較した結果、採点は以下のようになりました▼
ポケトークW | arrow hello | arrow helloオフライン | |
英語のフレーズ① | 5点 | 3点 | 2点 |
英語のフレーズ② | 4点 | 4点 | 3点 |
中国語のフレーズ① | 5点 | 2点 | 2点 |
中国語のフレーズ② | 3点 | 5点 | 4点 |
合計点 | 17点 | 14点 | 11点 |
ポケトークWは17点、arrows helloは14点、arrows helloのオフライン翻訳は11点と、ポケトークWの方が高い点数になりました!
もちろん、2言語を2文ずつしか翻訳していませんので、この結果だけで両者の翻訳精度を判断することはできませんが、arrows helloよりもポケトークWの方が翻訳精度は高いと言っていいと思います。
arrows helloの翻訳精度は現状トップレベルとは言えないものの、少なくとも英語と中国語についてはまぁまぁ良いというレベルです。
arrows helloの強みは、オフライン翻訳の翻訳精度が比較的良いという点です。通常、オフライン翻訳は音声認識性能がオンラインと比較して著しく低くなるため、オフラインでは全く使い物にならないことが多いです。
例えばarrows helloのようにオフライン翻訳もできる翻訳機「KAZUNA eTalk5」でも同じテストをしてみたところ、合計点数は7点でした。eTalk5のオフライン翻訳は、1つの単語ならなんとか正確に翻訳してくれるかな??というレベルです。
一方、arrows helloのオフライン翻訳精度はもちろんWiFi接続時よりは下がるものの、文章でもギリギリ意味が分かる程度に翻訳してくれます。
arrows helloがあれば、インターネットが使えない場所でも簡単な文章の翻訳が可能です。
arrows helloの特長は?
ここでは、他の翻訳機と比較したarrows helloの特長(メリット)をご紹介します
arrows helloの特長は以下3点です。
- オフライン翻訳ができ、翻訳精度も比較的高い
- カメラ翻訳ができるのにサイズはコンパクト
- 専用のコールセンターがある

オフライン翻訳ができ、翻訳精度も比較的高い
※arrows hello公式サイトより
arrows helloは、オフライン翻訳に対応しているのでインターネットにつながらない場所でも翻訳をすることができます。
ポケトークWなどほとんどの翻訳機では、インターネットに接続しなければ翻訳ができないのでこの点はarrows helloの強みです。
ただし、オフライン翻訳に対応している言語は日本語、英語、中国語(簡体字)の3言語です。(日本語⇔英語、日本語⇔中国語の翻訳のみ対応。英語⇔中国語のオフライン翻訳はできません)
また、「翻訳精度検証まとめ」の部分でも触れましたが、オフライン翻訳の翻訳精度が比較的高いのもarrows helloのメリットです。


カメラ翻訳機能あり。しかもコンパクト
※arrows hello公式サイトより
arrows helloには、カメラ翻訳機能があります。
カメラ翻訳とは、カメラで撮影した画像の中に含まれているテキストを、別の言語にテキストで変換してくれる機能です。
翻訳したいテキストの写真を撮ると…
写真の中に含まれているテキストを設定した言語に翻訳してくれます。(画像見にくくてすみません。上の画像では中国語の「星の王子様」の表紙を日本語に翻訳しています)
▼画面左下の「カメラ翻訳」ボタンをタップするだけでカメラ翻訳機能が起動するので、とても簡単です。
Google翻訳などスマホの翻訳アプリには標準的に備わっている機能ですが、一般的な翻訳機でこの「カメラ翻訳」機能を備えているものは多くありません。(カメラを搭載する必要があるため)
最近ではKAZUNA eTalk5、mayumi3などカメラ翻訳機能を備えた翻訳機も増えてきましたが、カメラを搭載する必要がある分本体は大きめで重量も重くなってしまう傾向があります。でもarrows helloはカメラを搭載しているのに大きさや重さはカメラがないポケトークWとほぼ同じ。
カメラ翻訳機能があり、かつ軽量コンパクトな翻訳機が欲しい方にはarrows helloがおすすめです。
※arrows helloのカメラ翻訳機能はオフラインでも使えます(翻訳精度は下がります)。


専用コールセンターあり!
arrows helloの公式サイトやarrows helloの保証書には、arrows製品サポート窓口の電話番号が記載されています。
この電話番号、基本的には「ハードウェアの故障・修理の相談窓口」となっているんですが、実はarrows hello購入後の使い方相談にも対応してくれます。
富士通コネクテッドテクノロジーズの担当の方にお話を伺ったところ、

ということでした。
他の翻訳機で購入後の電話サポートを行っているところはごくわずか。(ほとんどがメールサポートのみです)
また電話サポート対応をしていても、あまり時間や労力を割きたくないのか、サポートページの目立たないところにひっそりと電話番号が記載されていることがほとんどです。
でもarrows helloは公式サイトや保証書の目立つ部分にしっかりとサポート用の電話番号を記載してくれています。このあたりはさすが富士通arrowsブランドの製品と言ったところでしょうか。
購入しても使いこなせるかどうか不安…という方にはとてもうれしいサービスですね。(フリーダイヤルではありませんので通話料はかかります)

arrows helloの注意点
arrows helloには以下のような注意点があります。
- 有道の翻訳エンジンだけを利用している
- 通信はWi-Fiのみ
- 翻訳履歴が確認できない
- 対応言語が少ない

有道の翻訳エンジンだけを利用している
arrows helloでは、翻訳エンジンに「有道」の翻訳エンジンだけを利用しているので、他の一般的なクラウド型翻訳機よりも全体的な翻訳精度が低いです。(言語によっては他の翻訳機よりも翻訳精度が高いこともあります)


arrows helloのようなクラウド型の翻訳機は、インターネット上の翻訳エンジンに接続することで翻訳を行っていますが、同じクラウド型の翻訳機でも「ポケトークW」「KAZUNA eTalk5」など、翻訳精度に定評のある翻訳機はたいてい、翻訳する言語ごとに異なる翻訳エンジンを利用しています。

左から「Google翻訳」「Microsoft翻訳」「百度翻訳」
なぜかというと、インターネット上の翻訳エンジンはそれぞれ性能が違い、翻訳が得意な言語、また不得意な言語があるからです。
そこで日本語を英語に翻訳する場合はGoogleの翻訳エンジン、日本語を中国語に翻訳する場合は有道の翻訳エンジンを使う…というように翻訳言語ごとに一番性能の良い翻訳エンジンを利用することで、全体としてより高い翻訳精度を実現しているという訳です。
でも、arrows helloは有道の翻訳機を日本向けにカスタマイズしたものなので、どの言語を翻訳する際にも有道の翻訳エンジンを利用しています。そのため、言語ごとに最適な翻訳エンジンを利用している翻訳機と比較すると、どうしても翻訳精度は低くなってしまいます。
翻訳精度を重視して選ぶなら、「ポケトークW」や「KAZUNA eTalk 5」を選ぶことをおすすめします。(ただし、オフライン翻訳精度に限ればeTalk 5よりarrows helloの方が優秀です)
ライターの個人的な意見ですが、「有道」自体は優秀な翻訳エンジンだと思います。以前中国に旅行した際、「有道翻译官」という有道の翻訳アプリを使ったことがありますが、かなり正確に日本語⇔中国語の翻訳をしてくれました。

有道の翻訳アプリ「有道翻译官」
ただ、他の言語の組み合わせで翻訳精度がどのくらいなのかは試してみないと分かりません。おそらく、日本語⇔英語の翻訳ではGoogle翻訳にかなわないのではと思います。
今後arrows helloを使って英語・中国語・韓国語など需要の高い言語の翻訳精度を詳しく検証していく予定です!
[2019.6.15追記] arrows helloには、翻訳精度を改善するための報告機能があります。翻訳結果がおかしい場合は、画面に表示されている「翻訳精度を改善する必要があります?」の?マーク部分をタップすると、翻訳エンジンに報告できます。
これはほかの翻訳機にはあまりない珍しい機能です。arrows helloをたくさんの人が使えば使うほど、有道の翻訳エンジンの性能は改善されていくかもしれません。
通信はWi-Fiのみ

SIMトレイはどこにもないです。eSIMも入っていません。
arrows helloはWi-Fiモデルで、SIMを入れて使うことはできません。
そのため屋外などWi-Fi環境のない場所(インターネットに接続できない場所)では日本語⇔英語、日本語⇔中国語のオフライン翻訳しか行うことはできません。
日本語⇔英語・中国語はオフラインでも翻訳できるとは言え、翻訳精度はオンライン時よりもかなり低くなるので注意が必要です。基本的にarrows helloはWi-Fi環境でないと使えない、と思っておいた方がいいと思います。
arrows helloを海外旅行で使うことをお考えの方は、必ず海外用のモバイルWi-Fiルーターをレンタルするなどして持っていくことをおすすめします。
翻訳履歴が1つしか確認できない
arrows helloでは翻訳履歴を直前の1件しか確認することができません。
ライバル機のポケトークWでは翻訳履歴がほぼ無制限(10,000件まで)で確認できるので、外国人と会話をしている時、相手にもう一度同じ言葉を伝えたい場合は翻訳履歴から選択するだけでOKです。
また、相手が話してくれたことも翻訳履歴を見れば確認できます。

ポケトークWでは、翻訳の履歴がほぼ無制限で確認でき、タッチすればもう一度再生もできる
でも、arrows helloでは翻訳履歴が1つしか確認できません。(翻訳履歴を確認したい場合は、ホーム画面を右から左にスワイプすると確認できます)
また、お気に入り機能もないので、よく使う言葉を「お気に入り」に登録してすぐ呼び出せるようにするということもできません。
相手に伝えたいことがあるその度に、話して翻訳しなければならないのはとても不便です。翻訳履歴が1つしか確認できないようでは学習用途で使うことも現実的ではないため、この点は他の翻訳機と比較して大きな弱点になってしまっています。


対応言語が少ない

arrows helloの翻訳言語選択画面。あいうえお順になっており、国旗も併記されているので非常に分かりやすいです。
arrows helloの翻訳対応言語数は28言語。
決して少ないとは言えませんが、ポケトークW(74言語)やKAZUNA eTalk 5(72言語)など、ライバル機と比較するとどうしても見劣りしてしまいます。
できるだけ多くの言語に対応した翻訳機が欲しい方は、arrows hello以外の翻訳機を選ぶことをおすすめします。
ちなみに、対応言語はあいうえお順に以下の通りです。
- アラビア語
- イタリア語
- インドネシア語
- 英語
- オランダ語
- 韓国語
- ギリシャ語
- スウェーデン語
- スペイン語
- スロバキア語
- タイ語
- チェコ語
- 中国語
- 中国語(繁体字)
- デンマーク語
- ドイツ語
- トルコ語
- 日本語
- ノルウェー語
- ハンガリー語
- ヒンディー語
- フィンランド語
- フランス語
- ベトナム語
- ポーランド語
- ポルトガル語
- ルーマニア語
- ロシア語
まとめ
以上、富士通の翻訳機arrows helloの詳細レビューでした。


正直なところ、arrows helloは後発で発売された翻訳機にしては、ライバル機と比較して見劣りする部分が多い印象があります。
とくに、翻訳履歴が1件しか見られないこと、翻訳エンジンが有道だけというのはかなり大きな弱点です。
でも、画面は大きくとても見やすいですし、ボタンの配置や設定画面もよく考えられていて、使いやすさという点ではかなり優れています。カメラを搭載しているのにポケトークと同じ大きさを実現しているところもよい点です。
ハード(翻訳機本体)自体は非常によくできていると感じますので、今後のアップデート次第でかなりおすすめできる翻訳機に生まれ変わる可能性があるのではと思います。
また、翻訳機を開発・販売している企業には中小企業が多いなか、arrowsのブランド力は群を抜いています。現在使われている翻訳機のうち90%以上を占める「ポケトーク」からどれくらいのシェアを奪えるのか、今後も注目していきたいと思います!